飛行機恐怖症が楽になる

飛行機恐怖症とは、以下のように定義されています。

飛行機恐怖症は、墜落への恐怖、閉所への恐怖、高所への恐怖、死ぬ恐怖、パニック状態になることへの不安、状況をコントロールできない無力感、テロへの不安などが、入り混じったものである。

引用元:飛行機恐怖症 – Wikipediaより引用

飛行機恐怖症とは、飛行機に乗ることに対して強い恐怖を感じる症状です。

飛行機は何と言っても短時間で長距離を移動できるのが強みであり魅力だと言えます。

近場なら車・バス・電車など、ちょっと遠いところなら新幹線でも対応可能です。

ですが、国内でも長距離を移動する場合や、海外だと飛行機なしでは時間的にもなかなか難しい部分があります。

つまり、飛行機に恐怖を感じ飛行機に乗れないということは、移動距離や移動時間の制限を受けてしまうということでもあります。

言い換えると、自由に旅行をしたり、自由に人生を楽しむことができなくなると言えます。

飛行機は、車や電車などと違い、地に足がついておらず、乗ってしまえば、お任せするしかありませんし、もし何かあっても自分でできることは限られています。

そんな部分が、飛行機に恐怖や不安を感じやすいことにつながっているのだと思います。

飛行機に乗りたくても乗れないという、やりたくてもやれないことがあるのは、人生にとってとても辛いものです。

そんな飛行機恐怖症の苦しみから解放されるためにも、飛行機恐怖症について本当の原因や本質について知ることが大切になります。

このページでは、他ではなかなか語られない、飛行機恐怖症の本当の原因や本質についてお伝えしていきます。

飛行機は、地に足がついていない分、まさかの事態の時には自分では何の対処もできない部分もあり、そんなところから強い恐怖を抱いている方もおられると思います。

また、過去に死者が出た航空事故及び事件の報道によるトラウマや、過去に自分や知り合いの乗った便が何らかのトラブル・事故に巻き込まれた経験を体験したり聞かされたりした事、金属製の巨大な物体が空中に浮かぶことが不思議で理解できない事などが恐怖の要因だと言えます。

ですが、データ的に見てみると、航空機による死亡事故に遭遇する確率は、統計による実測値で50万分の1程度（中国）から200万分の1（アメリカ）程度とされており、その他の死亡要因（疾病や飛行機以外の交通事故）と比較すれば、相対的には安全と言えます。

具体的に見ていくと、日本では1985年に起こった日航機墜落事故以来、死者が発生するような大規模な墜落事故は一度も起こっていません。

ちなみに、2018年に起こった全国の交通事故死者数は3,532人(警察庁による発表)です。

数値で例えると、飛行機で事故に遭う確率は、8200年間毎日飛行機に乗ったとしても、事故に会うか会わないか、というほど低い確率です、

この結果からわかるように、飛行機による移動は極めて安全であると言えます。

その証拠に、毎日航空機に乗る乗員も、大多数の人は、事故に遭うこともなく、定年を迎えます。

つまり、飛行機に乗っていて、まさかの事態に遭遇する可能性は限りなく０に近く、むしろ車などのほうが事故に遭う可能性が高くなると言えます。

こういった客観的なデータなどを知ることで、飛行機に対する恐怖が和らぐことにつながります。

飛行機の仕組みについて知ることで、飛行機に対する恐怖が和らぐことにつながります。

ここでは、主な飛行機の仕組みについてお伝えしていきます。

乱気流で揺れるのは異常ではない

乱気流とは、飛行機が気圧の低い場所から高い場所に移動する際に発生するものです。

ガタンと大きな振動を感じますが、これは珍しいことではなく、例えば、車でドライブをしている時にでこぼこした道を走っているのと同じようなことだと言えます。

ですから、振動があっても心配する必要はなく、シートベルトさえしていればケガをすることもほとんどないと言えます。

飛行機の翼がしなるのは普通のこと

飛行中、ふと窓の外を見たときに翼がしなる光景を目にしたことはある方もおられるかもしれません。

あんなにグラグラして大丈夫かなぁと不安に思ったり、翼が折れないか心配という方もおられるかもしれませんが、飛行機の翼がしなるのは、普通のことでもあります。

それは、飛行機の翼は元々しなるように出来ているからです。

例えるなら、釣り竿のようなもので、柔軟性かつ頑丈さをもっているので、通常翼が折れることはまずありません。

フライト中に飛行機の扉が開くことはない

「フライト中に飛行機のドアが開いたらどうしよう」と不安に思う方もおられるかもしれません。

ですが、上空で飛行機の扉が開くことはまずあり得ないことでもあります。

それは、飛行機は高度1万メートルに達すると、気圧の関係で飛行機の扉に約9トンの圧力がかかるからです。

つまり、扉が開くことは物理的に不可能ですので、飛行機の扉に対して、不安に思う必要はないと言えます。

エンジンが故障しても飛び続けられる

飛行機には2～4つのエンジンが付いていて、例えエンジンが故障したとしても、最低ひとつのエンジンが作動していれば問題なく飛行機は飛び続けることができます。

また、最悪の場合エンジンが全て故障したとしても、空気の浮力を受けているためすぐに墜落することはないと言えます。

飛行機は上から吊るされているのと同じ

あんなに大きな鉄のかたまりの機体が、なぜ飛ぶことができるのか理解できない方もおられるかもしれません。

飛行機は「揚力」という上に引っ張られる力が働くことで飛ぶことができています。

飛行機が浮いていると思うと恐ろしさを感じるかもしれませんが、飛行機は浮いているのではなく、揚力によって上から吊るされているのと同じような状態だと言えます。

浮いているのではなく、上から吊るされていると考えると、恐怖が軽減されることにつながると言えます。

LCCだからといって危険なわけではない

最近では、機内サービスなどを最小限にし、格安価格で飛行機に乗れるLCCというサービスもあります。

中には、LCCは通常のフルサービスキャリアと比べて危険なのではと思われる方もおられますが、フルサービスキャリアとLCCの事故の件数を比べても、どちらかが多く事故を起こしているという事はありません。

ですから、LCCだからといって頻繁に事故が起きている訳ではないので、LCCに搭乗する時に過剰に不安になる必要はないと言えます。

飛行機恐怖症の対策は以下のようなものがあります。

他のことに集中する

飛行機が安全な乗り物であることを理解しても、やはり飛行機が揺れると怖いですし、グワンと体が浮く感じが苦手という方もおられると思います。

そんな場合は、フライト中に気が紛れる他のことに集中していみるのも一つの方法です。

例えば、映画を見る、音楽を聴く、本や雑誌を読む、ゲームをする、お酒や食事を楽しむなどです。

フライト中に飛行機に関するマイナスな情報について考えてしまうのではなく、自分の好きなことに夢中になることで、飛行機の恐怖を感じにくくなります。

リラックスグッズを持ち込む

心を落ち着かせるためにも、普段使い慣れているブランケットや、小さいクッションなど愛用しているアイテムや、音が気になる人はノイズキャンセリングのヘッドフォン、視覚の刺激が気になる人はアイマスク、アメやグミを舐めて味に意識を向ける、においが気になる人はマスクや携帯用のアロマオイルなどリラックスできるグッズを持ち込むのも効果的です。

機内では、目的地についてからの楽しいことを考えたり、リラックスした状態で過ごすことも大切になります。

万が一の時のためのリラクゼーション法を身に付けておく

フライト中に不安になってしまった時のために、呼吸法や瞑想などリラクゼーション法を身に付けておくことも一つの方法です。

いざというときに、気持ちをコントロールできる方法があると思うだけでも、心に余裕が生まれ、安心することにつながります。

フライト前は飛行機に恐怖を感じる情報に触れないようにする

飛行機に関係する怖い出来事といえば、アメリカ同時多発テロや世界中で起きた墜落事故などがあります。

このような過去に起こったマイナスな情報に触れてしまうと、余計に飛行機が怖くなってしまいます。

悪い情報を得ても不安が増すだけですので、意識的に飛行機に関して恐怖を感じる情報には目を通さないようにすることも大切です。

パイロットや飛行機を信頼する

パイロットは何百時間も訓練を受け、実際に数多くのフライトをこなしているその道のエキスパートでもあります。

ですから、責任を持って我々の命を預かってくれ、十分に信頼を置ける存在だと言えます。

飛行機の機体は整備士が細かなとこまで点検し、最大限の安全に勤めてくれていますし、今乗っている飛行機も何度もフライトを経験しています。

信頼するという事は最も心が安定できる状態でもあります。

飛行機に乗っている時は、飛行機や飛行機に関わるプロを信頼し、安心して機内での時間を楽しむことも大切だと言えます。

眠ってしまう

一番シンプルで効果的なのが眠ってしまうことです。

眠ってしまうと、飛行機について考える必要もなくなり、あとこれくらいで目的地に着くなどフライトの時間なども気にする必要もなくなります。

もし眠れなかったとしても、目を閉じるだけでも、安心してリラックスする効果があります。

飛行機に乗って座席に座ったら、あとは目を閉じて到着を待つのも効果的だと言えます。

飛行機は、長時間一つの空間におらざるを得ない状態になるため「閉所恐怖症」と関係があると言えます。

閉所恐怖症は「閉じ込められている」と感じてしまうような状況に対して過剰に恐怖を感じてしまい、生活に支障が出てしまうような状態です。

人は狭い空間や一つの空間に閉じ込められると、不安や恐怖、ストレスを感じます。

ただ同時に、引きこもりという人が存在するように、自ら進んでその空間にいる場合や、いつでも出ようと思えば出れる状態でその空間にいる場合は、不安や恐怖、ストレスを感じにくいと言えます。

他にも、ある程度時間が決まっている場合、同じ空間にとどまっていても我慢できるケースもあります。

飛行機恐怖症の人は、イヤイヤ機内にいて、フライト中は自由に外に出られない状態に、例え時間が決まっていても、耐えきれず、恐怖を感じている状態だと言えます。

閉所恐怖症について詳しくはこちら→閉所恐怖症が楽になる

飛行機は高度を維持し上空を飛ぶため、まさに高所だと言えます。

そのため、高所に対して恐怖を感じる「高所恐怖症」とも関係があると言えます。

高所恐怖症・高所恐怖癖とは、高いところにいると強い恐怖を感じたりパニックになる症状です。

飛行機は安全に飛行するためにも、ある程度の高度を飛ぶ必要があります。

機内の窓から外を見ると、いつもは見上げている雲の上を飛んでいたりします。

見下ろすと、まるで街や家、人がミニチュアになったように、上空を飛びます。

そのため、人が最も高い高所にいる時は、飛行機で飛んでいる時だと言えます。

あまりにも日常とかけ離れた高所のため、逆に恐怖を感じない人もおられますが、同時に怖い人にとっては怖いと言えます。

高所恐怖症・高所恐怖癖について詳しくはこちら→高所恐怖症・高所恐怖癖が楽になる

飛行機恐怖症の本質的な原因は「思い込みと過去へのとらわれ」だと言えます。

つまり、飛行機やフライトは怖いという思い込みを抱えているため、飛行機恐怖症が発生していると言えます。

「思い込み」とは、「こうでなければならない」というルールや、「意味付けのフィルター」のようなものです。

つまり、本来、特に決まった意味のない「飛行機」を、「怖いというフィルター」を通してみることで、「飛行機＝怖いという意味付け」になります。

逆に言うと、「飛行機」を「楽しいというフィルター」を通してみることで、「飛行機＝楽しいという意味付け」になります。

ですから、飛行機は怖いという思い込みが手放されることで、飛行機恐怖症も楽になると言えます。

では、どうすれば、飛行機に対する思い込みを手放すことができるのでしょうか。

それは、まず自分が飛行機に恐怖を感じる思い込みを抱えていることに気づくことです。

通常、自分と思い込みは一体化しているため、思い込みに気づくことはできません。

ですが「感情」をヒントにすると、自分が思い込みを抱えていることに気づくキッカケになります。

それは感情が動くところには思い込みが隠れているからです。

例えば、犬を見て怖いという感情が湧いてきたら、自分が犬に対して思い込みを抱えていることになります。

それは、犬に対して何も思い込みを抱えていなければ、犬を見て怖いと感じることはないからです。

同じように、飛行機に怖いという感情が湧くということは、例えば「飛行機は怖いものだ」「飛行機でのフライトは危険を伴うものだ」「飛行機に乗ると自分は死んでしまうかもしれない」などという思い込みを抱えていることになります。

このように感情をヒントに自分がどのような思い込みを抱えているかを見ていき、抱えている思い込みに気づくと、思い込みと自分との間に距離ができ、客観的に思い込みを眺めることができるようになります。

これが思い込みを手放す準備だと言えます。

そして、思い込みを手放す準備ができたら、あとはその思い込みを手放すと決意するだけです。

「この思い込みはもう必要ないため手放します。今まで私を守ってくれてありがとう」そんなイメージで手放すと決意します。

思い込みを手放すと決意することで、思い込みは自然と手放されていきます。

そのようにして、飛行機に恐怖を感じる思い込みが手放されることで、飛行機恐怖症も楽になっていきます。

思い込み以外の飛行機恐怖症の原因として「過去へのとらわれ」が関係しています。

つまり、飛行機での過去の体験がトラウマのようになり、その過去にとらわれ、飛行機に恐怖を感じます。

言い換えると、また過去の時のように飛行機に乗ると苦痛を感じるかもしれない、過去と同じように恐怖や不安を感じるかもしれないという「過去」を「未来」に投影し、一歩踏み出せない状態になっていると言えます。

過去の失敗や過去の辛い体験は、人の脳裏に焼き付くものです。

ですが、過去とは過ぎ去ったものと書くように、もう過ぎ去ったものであり「今」には存在しません。

ただ自分が「今」に「過去」を当てはめ投影したときにだけ「過去」が存在するように「見える・感じる」だけです。

そして、実は一般的に人が思い描く「未来」も「過去」でもあります。

それは、予想や想像した「未来」というのは、「過去」を参照にし、「過去」の延長線上に、予想や想像されたものだからです。

予想や想像された「未来」というのは「未来」の仮面をかぶった「過去」だということになります。

そして、本当の「未来」は誰にも知ることができません。

その証拠に「未来」とは、未だ来てないと書き、つまり「未知」だからです。

ですから、飛行機恐怖症の人は、飛行機による「過去」の体験を「未来」に投影し、飛行機恐怖症に苦しんでいると言えます。

逆に言うと、「過去」のとらわれを手放すことができると、「過去」を「未来」に投影することもなくなり、「今」を生きることができると言えます。

実は、人は「過去」に意識を向けると、「後悔や自己否定」につながります。

「未来」に意識を向けると、「不安や恐怖」につながります。

そして、「今」に意識を向けると、「安心やリラックス」につながります。

つまり、「過去」にとらわれ、その投影である「未来」にとらわれることで、飛行機に対する恐怖につながると言えます。

逆に言うと、「過去」を手放すと、その投影である「未来」も手放され、飛行機に対する恐怖も和らいでいくと言えます。

トラウマ（心的外傷）について詳しくはこちら→トラウマ（心的外傷）が楽になる

過去を手放す方法は、過去を受け入れること、許すことです。

それは、過去にとらわれているということは、過去を否定し、過去をなんとかしようとし、過去に抵抗している状態だからです。

つまり、過去がどんなに辛くても苦しくても、それを受け入れ、許さない限りは、その過去の辛さや苦しみはつきまとい続けると言えます。

手放すとは言い換えると、忘れることです。

つまり、過去を受け入れ、許すことで、過去を忘れることにつながります。

反対に、過去にとらわれている状態は、過去を問題にし、問題にすることで、その問題である過去が気になり、気にすることで過去という問題にエネルギーを注ぐことになり、ますます過去という問題は大きくなっていきます。

つまり、過去の問題にとらわれ気にすることで、過去の問題に栄養を与え、過去の問題を育てて、生き延びさせているような状態だと言えます。

反対に、過去を受け入れ、許すことで、過去が問題ではなくなり、問題ではないため、必要以上に気にならず、そこにエネルギーを注がいないことになり、過去を忘れ、過去へのとらわれが手放されることにつながります。

飛行機恐怖症の場合も、過去の飛行機での体験を受け入れ、許すことができるほどに、過去へのとらわれを手放すことにつながり、飛行機恐怖症も楽になっていくと言えます。