台風恐怖症が楽になる

台風恐怖症とは、台風に対して強い恐怖を感じる症状です。

台風などの自然災害は、人知を超えていて、なすすべもない状況に陥ってしまうケースもあります。

なんとか台風をやり過ごしても、また台風がきたらどうしようと、常にどこかで不安のようなものを感じている方もおられると思います。

また、実際に過去に台風で甚大な被害を受け、それがトラウマのようになり、台風が怖くて仕方がない方もおられると思います。

台風は強い風や雨などにより、街に壊滅的な被害を与えてしまうケースもあります。

大きな被害は出なくても、台風の風や雨の音に、心臓が止まりそうになり、怯えるように過ごしている方もおられると思います。

この台風に対する不安や恐怖から抜け出したいけれど、どうすればいいのか分からないと、悩み苦しんでいる方もおられると思います。

そんな台風恐怖症の苦しみから解放されるためにも、台風恐怖症について本当の原因や本質について知ることが大切になります。

このページでは、他ではなかなか語られない、台風恐怖症の本当の原因や本質についてお伝えしていきます。

そもそも台風とは何なのでしょうか。

台風とは以下のように定義されています。

台風（たいふう、英: Typhoon）は、北西太平洋または南シナ海に存在する熱帯低気圧で、かつ低気圧域内の最大風速が約17.2 m/s（34ノット、風力8）以上にまで発達したものを指す呼称。

強風域や暴風域を伴って強い雨や風をもたらすことが多く、ほとんどの場合気象災害を引き起こす。上空から地球に向かって見ると反時計回りの積乱雲の渦からなる。超大型と呼ばれる台風は風速15m/sの強風域が半径800km以上と、とても大きな台風となる。

気圧が最も低い位置を「気圧中心」といい、その位置と勢力で台風は定義される。

普通の低気圧との最大の違いは、前線を伴っていないこと。

ほとんどの台風は北半球における夏から秋にかけて発生する。

最盛期のコースを例にとると、発生当初は貿易風の影響で西寄りに北上しつつ、太平洋高気圧の縁に沿って移動し、転向した後は偏西風の影響で東寄りに北上し、ジェット気流の強い地域に入ると速度を速めて東進し、海水温や気温の低下に起因する中心部上昇気流勢力の低下、海上に比べ起伏が激しくまた昼夜の温度差が大きい陸への上陸によって勢力を弱めていく。

ただこのような教科書的なコースを辿るものはそれほど多くなく、太平洋高気圧の影響により西進し続けたり、停滞したりと、複雑な経路をとるものもしばしば現れる。

日本列島やフィリピン諸島、台湾、中国華南・華中沿海部、朝鮮半島などに大きな被害を与える。

コースによってはベトナムやマレーシア、マリアナ諸島、ミクロネシアなどを通ることもある。稀ではあるが冬季にも、海水温の高い低緯度で発生する。

コースの北限はジェット気流であり、その流路変化に伴って暖かくなるにつれコースは北に移り、夏を過ぎると南に下がってくる。

引用元:台風 – Wikipediaより引用

台風は夏から秋に発生する自然現象であり気象災害だと言えます。

台風がどのように発生するのかというと、まず台風は北太平洋南西域の熱帯地方で発生した低気圧が発達したものです。

熱帯地方の暖かい海では海水の蒸発が盛んで、低気圧に吹き込む空気は暖かくてたくさんの水蒸気を含んでいます。

低気圧内に送り込まれた水蒸気は、上昇気流により上昇し、凝結（気体から液体への変化）します。

その際に放出する熱により上昇気流が強くなり、さらに大量の水蒸気をたくさん含んだ空気を吸い込んで発達します。

このようにして発達した低気圧を「熱帯低気圧」といい、さらに発達して最大風速がおよそ毎秒17メートル（34ノット）以上になったものを「台風」と言います。

台風により発生する現象は以下のようなものがあります。

雨

「渦性降雨」台風の中心付近では激しい雨になります。

「地形性降雨」台風により山地に向かって気流を生じるような地形では大雨となりやすい傾向があります。

「前線の発達」台風の接近により時期によっては秋雨前線や梅雨前線を刺激して大雨をもたらし、これによる被害が発生することも多いです。

なお、台風の中心付近は暖かい空気でおおわれた構造で、台風そのものが前線を伴うことはないのですが、冷たい空気の影響で台風の中心に前線が達した場合、台風は温帯低気圧に変化します。

風

台風により暴風・強風が発生します。

塩害を生じることがあり、送電線の碍子（がいし）で放電現象を伴うこともあります。

波

台風により高波やうねりを生じ、波の高さが10mを超えることもあります。

強風による吹き寄せと気圧低下によって高潮を生じることがあり、珊瑚礁のある海岸等海岸地形によっては波群津波が発生することもあります。

雷

雲が発達する割には台風本体接近時には雷を伴うことは少ないですが、台風による間接的な雷雨が発生することがあります。

台風本体においては、進行方向の左側で比較的発生しやすいと言われています。

竜巻

関連性は解明されていませんが、台風の接近による竜巻も発生することがあります。

雪

熱帯低気圧であるため台風である時期には雪は降らないのですが、温帯低気圧に変化した後に高緯度地区で降雪となることや、冬型気圧配置となることによる降雪となることがあります。

稀に1932年晩秋に上陸した七五三台風や1990年の晩秋に上陸した台風28号のように、台風接近時に山間部の集落で大雪が降ったケースもあります。

台風による社会的な影響は以下のようなものがあります。

交通機関の乱れ

特に航空やフェリー航路の場合、暴風を伴うと大変危険で、機体や使用船舶の遣り繰りがつかない（目的地や避難先が台風の進路上で運航できない）ことなどから台風が通過した後も運休するケースが多いです。

国内航空に関しては一日の機体の遣り繰りが複雑で一つの機体が5、6便運航することが多く、台風の関係ない地方でもどこかの路線で台風による欠航が発生することにより後続の機材繰りによって、使用する航空機が出発までに用意できずに欠航や遅延することもあります。

また鉄道・バス・自動車道路（高速道路・国道など）も一定の風速または雨量をオーバーすると運休や通行止め、あるいは速度徐行がなされる場合もあります。

近年鉄道においては影響が予想される場合は、あらかじめ長距離列車の運休や間引き運転・全列車の各駅停車運転などが行われ、事前事後のダイヤの混乱防止と輸送手段の確保の両立を図るケースが多いと言われています。

イベントなどの中止

公衆施設（自治体の公共施設・サービス受付、レジャー施設、百貨店・スーパーマーケットなど）の営業休止・または早期打ち切りや、スポーツ・コンサートイベントの中止・延期などがあります。

屋内施設（ドーム球場や体育館、コンサートホールなど）で開かれるイベントであっても、交通機関のマヒによる関係者の現地入り不能や、観客の安全などを考慮してイベントを中止する事例があります。

屋内退避による風水害からの避難を要する場合もあります。

台風恐怖症は「予期不安」とも関連があると言えます。

予期不安は、不安を予期してしまい不安が増幅してしまう症状です。

つまり、台風が来ることで、こんなことが起きたらどうしよう、また前と同じようになったらどうしようと、未来に対して不安を感じている状態です。

人が不安を感じるのは防衛本能でもあるため、仕方がないことでもありますが、必要以上に不安に囚われてしまうと、不安に飲み込まれ苦しさもどんどん増してしまいます。

予期不安について詳しくはこちら→予期不安が楽になる

台風恐怖症があることで、台風が近づいてきたり、台風の当日は不眠症になってしまうケースもあります。

不眠症・睡眠障害とは、夜寝る時に寝付きが悪かったり、途中で目が覚めたり、朝早く目が覚める、眠りが浅く疲れがとれない状態の症状です。

台風により緊急速報が鳴ると、心臓がドキドキして体が熱くなり、脳がカッと緊張し、眠れなくなることもあります。

ですが、これは「強い災害が起こったら逃げなくてはいけない」という心構えでもあり、脳と体がすぐに反応できるように準備をしている状態でもあります。

ですから、台風などの緊急の事態の時は、眠れない状態が普通だと自覚し、無理に眠ろうとしないことも大切になります。

できる範囲で、自分が少しでも安心したり、リラックスできることを選択していくことが大切になります。

不眠症・睡眠障害について詳しくはこちら→不眠症・睡眠障害が楽になる

台風恐怖症の対処法は以下のようなものがあります。

災害に対して備える

まず、できる範囲の「備え」をすることが大切になります。

台風を避けたりどけることはできないため、台風を受け入れた上で、できる範囲で備えなどの対処をすることです。

たとえば、水や食料、電池などを備蓄したり、家具の転倒予防や配置の工夫をする、持ち出し用バッグを作っておく、家族や親しい人と打ち合わせをしておく、家族の電話番号を数件分は暗記しておく、自宅から避難場所までや職場から自宅までの経路を歩いて確認しておくなどです。

不安感が強いと行動力が鈍り、何もできなくなって、夜になるとなんだか怖いという感覚に襲われることがあります。

ですが、昼の間に、バッグに懐中電灯や水を入れておくなどすると、自分で備えをしたという安心感が夜の恐怖感を軽減するように働きます。

「備えあれば憂いなし」という言葉があるように、できる範囲の備えをしておくことが安心につながると言えます。

同じ不安感を持つ親しい人と話をする

一人で憂うつになるばかりという状況は不安感をつのらせてしまいます。

予期不安は誰にでもあるもので、似た境遇、同じ心情の人と話し、気持ちを分かち合うことで。ストレスや不安の軽減につながることにつながります。

自分よりも厳しい状況の人のことを想像する

被害にあった人、周囲の辛い人たちの境遇や心情を想像することで、自分が恵まれていることに気づくキッカケになります。

そうすることで、不安が和らぐことにつながります。

感謝をする

今生きていることに感謝するなど、身の回りで感謝できることを見つけ、実際に感謝してみると、不安や恐怖が軽くなることにつながります。

感謝とは現状を受け入れることでもあり、感謝することで現状の幸せに気づくキッカケにつながります。

寄付をする

無理のない範囲で被災地に寄付をするなどの行為は、予期不安を緩和することにつながると言われています。

困っている人に何らかの行動を起こすと自分の思考や心情は変わります。

コンビニやスーパーのレジにある募金箱に、買い物時のお釣りを入れることを数日続けるなど、身近な行動範囲内でできる寄付を行い、可能ならボランティアに参加するのもいいと言えます。

人は誰かのために行動することで、勇気が湧いてきて、恐怖や不安を払拭することにつながります。

台風恐怖症の本質的な原因は「思い込みと過去へのとらわれ」だと言えます。

つまり、台風は怖いという思い込みを抱えているため、台風恐怖症が発生していると言えます。

「思い込み」とは、「こうでなければならない」というルールや、「意味付けのフィルター」のようなものです。

つまり、本来、特に決まった意味のない「台風」を、「怖いというフィルター」を通してみることで、「台風＝怖いという意味付け」になります。

逆に言うと、「台風」を「単なる自然現象というフィルター」を通してみることで、「台風＝自然現象という意味付け」になり、必要以上に台風にとらわれなくなると言えます。

ですから、台風は怖いという思い込みが手放されることで、台風恐怖症も楽になると言えます。

では、どうすれば、台風に対する思い込みを手放すことができるのでしょうか。

それは、まず自分が台風に恐怖を感じる思い込みを抱えていることに気づくことです。

通常、自分と思い込みは一体化しているため、思い込みに気づくことはできません。

ですが「感情」をヒントにすると、自分が思い込みを抱えていることに気づくキッカケになります。

それは感情が動くところには思い込みが隠れているからです。

例えば、犬を見て怖いという感情が湧いてきたら、自分が犬に対して思い込みを抱えていることになります。

それは、犬に対して何も思い込みを抱えていなければ、犬を見て怖いと感じることはないからです。

同じように、台風に怖いという感情が湧くということは、例えば「台風は怖いものだ」「台風は危険なものだ」「台風で自分は死んでしまうかもしれない」などという思い込みを抱えていることになります。

このように感情をヒントに自分がどのような思い込みを抱えているかを見ていき、抱えている思い込みに気づくと、思い込みと自分との間に距離ができ、客観的に思い込みを眺めることができるようになります。

これが思い込みを手放す準備だと言えます。

そして、思い込みを手放す準備ができたら、あとはその思い込みを手放すと決意するだけです。

「この思い込みはもう必要ないため手放します。今まで私を守ってくれてありがとう」そんなイメージで手放すと決意します。

思い込みを手放すと決意することで、思い込みは自然と手放されていきます。

そのようにして、台風に恐怖を感じる思い込みが手放されることで、台風恐怖症も楽になっていきます。

思い込み以外の台風恐怖症の原因として「過去へのとらわれ」が関係しています。

つまり、台風での過去の体験がトラウマのようになり、その過去にとらわれ、台風に恐怖を感じます。

言い換えると、また過去の時のように台風で危険にさらされるかもしれない、過去と同じように恐怖や不安を感じるかもしれないという「過去」を「未来」に投影し、一歩踏み出せない状態になっていると言えます。

過去の失敗や過去の辛い体験は、人の脳裏に焼き付くものです。

ですが、過去とは過ぎ去ったものと書くように、もう過ぎ去ったものであり「今」には存在しません。

ただ自分が「今」に「過去」を当てはめ投影したときにだけ「過去」が存在するように「見える・感じる」だけです。

そして、実は一般的に人が思い描く「未来」も「過去」でもあります。

それは、予想や想像した「未来」というのは、「過去」を参照にし、「過去」の延長線上に、予想や想像されたものだからです。

予想や想像された「未来」というのは「未来」の仮面をかぶった「過去」だということになります。

そして、本当の「未来」は誰にも知ることができません。

その証拠に「未来」とは、未だ来てないと書き、つまり「未知」だからです。

ですから、台風恐怖症の人は、台風による「過去」の体験を「未来」に投影し、台風恐怖症に苦しんでいると言えます。

逆に言うと、「過去」のとらわれを手放すことができると、「過去」を「未来」に投影することもなくなり、「今」を生きることができると言えます。

実は、人は「過去」に意識を向けると、「後悔や自己否定」につながります。

「未来」に意識を向けると、「不安や恐怖」につながります。

そして、「今」に意識を向けると、「安心やリラックス」につながります。

つまり、「過去」にとらわれ、その投影である「未来」にとらわれることで、台風に対する恐怖につながると言えます。

逆に言うと、「過去」を手放すと、その投影である「未来」も手放され、台風に対する恐怖も和らいでいくと言えます。

トラウマ（心的外傷）について詳しくはこちら→トラウマ（心的外傷）が楽になる

過去を手放す方法は、過去を受け入れること、許すことです。

それは、過去にとらわれているということは、過去を否定し、過去をなんとかしようとし、過去に抵抗している状態だからです。

つまり、過去がどんなに辛くても苦しくても、それを受け入れ、許さない限りは、その過去の辛さや苦しみはつきまとい続けると言えます。

手放すとは言い換えると、忘れることです。

つまり、過去を受け入れ、許すことで、過去を忘れることにつながります。

反対に、過去にとらわれている状態は、過去を問題にし、問題にすることで、その問題である過去が気になり、気にすることで過去という問題にエネルギーを注ぐことになり、ますます過去という問題は大きくなっていきます。

つまり、過去の問題にとらわれ気にすることで、過去の問題に栄養を与え、過去の問題を育てて、生き延びさせているような状態だと言えます。

反対に、過去を受け入れ、許すことで、過去が問題ではなくなり、問題ではないため、必要以上に気にならず、そこにエネルギーを注がいないことになり、過去を忘れ、過去へのとらわれが手放されることにつながります。

台風恐怖症の場合も、過去の台風での体験を受け入れ、許すことができるほどに、過去へのとらわれを手放すことにつながり、台風恐怖症も楽になっていくと言えます。